H. Scott Matthews, Research Scientist in Economics;
Chris T. Hendrickson, Head, Department of Civil and Environmental
Engineering;
Lester Lave, Higgins Professor of Finance and Economics, Carnegie
Mellon University in Pittsburgh
Published on: February 06, 2001
一見したところでは、インターネット上の買い物は、消費者と環境両方に恩恵を与えているように見える。消費者は、安くて便利になっていると信じているし、環境保護派はショッピングモールに行く回数が減ったおかげで、移動プラスもろもろのコストが減ったと信じている。しかしそれは正しいのだろうか?
実際のところ、物理的な世界にいる消費者は、目的をひとつに束ねている。たとえば本を買いにモールに行くときに、その移動でほかのものを買ったり、子供を迎えに行くといったようになにかほかのことをついでにやれば、それが交通量に与える限界的な効果は小さい。
そこには社会的なコストがあるってのは疑う余地がない。でも、インターネットで商品を注文することによるもっと広範囲の影響はゼロではない。エネルギーを例にあげてみよう:インターネットのためにルータ、スイッチ、そしてコンピュータが使用する電力コストは、1998年の推計では、アメリカの全電力消費量の1%からなんと8%にもなる!発電というのは国の多くの汚染物質の最大の発生源のひとつだ。それ以上に、コンピュータとその関連機器の製造は、これまた相当のエネルギーを消費する。そして、コンピュータはかなりの量の有害物質も含有している。多くのe-コマース企業は、商品を物流企業に流すための保管と物流の自社倉庫を建設している。建設業は、これまた輪をかけてエネルギー集約産業のひとつだし、今立てられている(10万平米規模の)倉庫の規模は汚染を増加させ、空き地を無駄に使い尽くす。
確かにデザインの改良によって、エネルギー効率と製造工程は改善されているが、それでもやっぱりe-コマースは負の効果をもっている。プラスの効果なんてどこにあるの?
昨年の7月に、オンライン取引の雄であるAmazon.comは、25万部以上の「ハリー・ポッターと炎の杯(シリーズ4作目)」を全米中の読者に届けるために、国際物流のトップ企業であるFedExと組んだ。優れた物流手腕のショーケースとして、Amazon.comは、「ハリー・ポッター」の事前予約をした顧客に全員に対して、FedExによる無料の土曜日配送を発表した。そして、顧客は(おまけに40% offの値段で)本を手に入れた---出版社が出荷を解禁したわずか数時間後の土曜日の未明に。FedExから出されたプレスリリースは、この配送には飛行機100機と、トラック9,000台の専任部隊が必要だったという事実を吹聴した。Amazon.comは、オンラインでの商品配送量の記録を打ち立てた。そして、おそらくこれはまた、結局は埋め立てごみとなる空の配送箱と包装の量という点でも記録を打ち立てた。エネルギー消費はもちろんのこと、輸送の際に生じた汚染の点でも。
たいていの注文は、何冊かまとまった注文のうちの一冊という形ではなく、おそらく一冊だけの箱詰めで出荷された。荷物の総重量は1.5kgで、そのうち本そのものの重量は1.1kgだ。これらの荷物は、空路と陸路を旅した。空輸による1トンマイルあたりのコストはトラックの3倍、使用する燃料はトラックの約5倍になる。鉄道や水運による輸送はもっと安いし、汚染も少ないが、すばやい配送に向いてないのは明らかだ。
実際に、Amazon.comのようなウェブベースの小売業による本の配送コスト総額は、昔ながらの本屋とほぼ同じだ。しかし、個人が本屋に車で行くことや、売れない在庫の返品などを含めると、昔ながらの小売業のシステム全体でみたコストは、インターネット小売の約2倍になる。このでかいコスト削減によって、インターネット書店の行う大幅な値引きのある程度は説明できる。また、「もうひとついかが作戦」の相対的な重要性も理解できるし、だから、ウェブ企業が二冊の本を顧客に売って、それらを同じ便で配送できれば、より節約が可能だ(It is also possible to understand the relative importance of “upselling”, since more savings are possible if a web company is able to sell two books to a customer and ship them together.)。
同様に、地場の本屋で二冊本を買えば、車で店にくることのインパクトは、一冊あたり半分になる。さらに、他の商品を同時に売ることができること(昔ながらのシステムでも、オンラインのシステムでも)は、環境に与えるダメージを増やさずに、収入を増やす可能性を秘めている。たとえば、ハリー・ポッターの新刊(利益率は低い)を近くの本屋で買うお母さんは、レジの列で待っている間に利益率の高いカプチーノに手を伸ばしてくれるかもしれない。
オンライン書店は、実際どの程度影響があるかよくわからない新しいシステムの唯一の例ではない。オンライン雑貨店は、多くの大都市で小規模の物流網とともにどんどん拡大している。
ハリー・ポッターが、世界的な環境変化の主要な元凶だと認識されない限り、現在のe-コマースシステムが与える実際の影響はやっぱり不透明なままだし、消費者もこのトレードオフに気づかないようだ。結局、PCをいじっている間、われわれは埋立地にある包装材のごみの山や、増え続ける廃棄物や、あるいは空き地が減っているなどのことは考えない。
e-コマースはまだ生まれたばかりだし、われわれの過剰な個人主義---「一人きりの車通勤」「翌日に届くオンラインショッピングでの注文」---が、この国の高速道路と空の混雑を助長していると信じるのは多分難しいだろう。しかし、個人の購買行動や、興りつつある新しいサービスは、顧客サービスや利便性をそんなに犠牲にすることなく、より「地球にやさしい」ものになるかもしれない。
たとえば、配送の際に顧客に荷物を受け取る日付と時間を指定してもらうというあたらしいオプションがある。これによって、地域の配送業者は集配便をまとめることができ、便の数を減らし、環境対策を改善することになる。
荷物の受け取り場所になろうと考えている企業もある。たとえば、地域のビデオ店や食料品店は配送先に指定することができる。消費者は、オンラインで買ったものをそこで受けとることができるし、何もないときは素通りすればいい。店の希望としては、荷物を受け取るときに映画の一本でも借りてほしいと思っているが。
インターネット企業は、顧客に向けて配送オプションを提示するといったようなより効果的なマーケティングによって役に立つ。これらの企業は、配送時間とコストの間のトレードオフを説明することによって、お客のお金を節約させ、自分たちの購買行動が与えるインパクトをより認識させることができる。結局、食品のようなものは即座に配送しなくてはいけないだろうが、本やCDやビデオは時間がかかっても大丈夫だろう。言い換えれば、「翌日配送」というe-コマースの呪文は、いいことよりも害を与えることのほうが多いということだ。
References
Visit Carnegie Mellon’s Green Design Initiative at
http://gdi.ce.cmu.edu/, a research consortium aimed at
solutions for businesses interested in reducing
non-renewable resources and toxic materials in
products.
*This article is based on a longer article by the same
authors and published in iMP, the web-based magazine
of the Center for Information Strategy and Policy at
www.cisp.org. It was prepared specially for OECD
Observer.
Related links
Visit Carnegie Mellon’s Green Design Initiative
Visit iMP and the Center for Information Strategy
and Policy